すじこ¥350いろり 奈々板橋 志村坂上「お店に入るの怖くなかった? よく入ってきたね!」ご主人の第一声です。
このお店に関してはまったく世に情報が出ていないので本邦初公開です。扉を明けると、話し好きで気さくなご主人と、実質的にお店を切り盛りしている女将さんが迎えてくれます。
誰もが不思議に思っている、店先看板の
ドイツ国旗の由来を聞きました。昔、近所の某印刷会社に
ドイツ製の巨大な印刷機を納める
ドイツ人業者がこのお店によく来るようになって、その方と家族ぐるみのおつきあいがはじまり、ご主人の
ドイツ探訪が盛んになって、敬意を表して看板に国旗をつけたそうです。おそらく多くの方はあの国旗が謎すぎて入店を敬遠しているのではいかと…。
その印刷機はおそらく、アルバート社のグラビア高速印刷機のことかと推察します。1984年のことでしょうか。
このお店の客層はその印刷会社より別の企業の方が多いそうです。
店を構えて40年余り、歴史あるお店です。ご主人から、志村エリアのいろいろなお話を伺うことができました。「しむらん通り商店街」で一番古いお店は意外にも「マルフクベーカリー」らしいです。構えは新しいのですが、すでに数代の代変わりを経ているそうです。もちろん「若松」の話も出て、やはり先代の女将さんの美人ぶりが尋常ではなかったと。第一ストアも歴史はありますが、スーパー三徳も50年くらいの歴史を持っているそうでビックリ。
ご主人は、同じ
板橋区の大山の商店街の成功に比較して、しむらん通りが寂れていくことを憂いています。どのお店も、次の世代にうまくバトンが渡せなかったのでしょうか。
基本的にご主人は客のおもてなし、女将さんが厨房で肴を作る、という分担です。ようしゃべくりまくるご主人です。
さて、何をいただきましょうか。そんなに献立は多くありませんが、
海鮮系が多いですね。
「すじこ」。大根おろしに載っています。美しい朱の艶!そして美味い。しかも安い。いいアテですよこれは。
「めばる焼」。開きです。身が引き締まってプリプリ。脂ものっています。ゆっくりとつまみましょう。

めばる焼 ¥650 フランクフルト ¥600「フランクフルト」。
ドイツ贔屓に敬意を表して、フランクフルトを。しかし女将さんいわく、日本製のものだそうです笑。ありがたいのは添えられたカボチャサラダ。こういう心遣いが小料理屋の気概なんです。
この間、出されたおしぼりは4本。この気遣いもいいんですね。ご主人は「おしぼりの本数で勘定が決まるよ」と。気さくなご主人です。
女将さんの郷里に、数年前に私も行った事もあって、その地域の話で盛り上がりました。
ご主人は山菜採りや海外旅行がお好きで、春に山菜が採れる頃来てくれれば美味しいものを提供すると約束してくれました。
上
板橋「花門」のイラン人ご主人に相通づる類いのご主人と、実直な料理を提供して下さる温和で律儀な女将さん。とてもいい雰囲気のお店です。店構えは謎めいていますが、まったく問題なく楽しめる
酒場です。みなさんもぜひ、飛び込んでみてみて下さい。

最寄駅 都営三田線「
志村坂上」(板橋区)
衛生感・落ち着き度 6
価格設定の適正度 8
料理の味・誠実度 7
好き度・リピート感 7
いろり 奈々 (魚介・海鮮料理 / 志村坂上駅、志村三丁目駅、本蓮沼駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5