牛バラのシェリー煮込み¥900ビストロスイレン板橋 本蓮沼 かなり以前から伺いたいと思っていて、つい1年半前にようやくお伺いしたら「しばらくお休みします」の表示が…。調べると、お店を支えるシェフ=ご主人が身体を患ってしまったとのこと。まだ見ぬご主人ですが回復を祈っておりました。最近HPを確認したら、お店が復活したとのニュース。ご主人は一時の難儀を乗り越えたとのことでホッとしたのですが、しかしシェフとして厨房に立てる快癒ということではないそうで、女将さんが名シェフの味を受け継いで腕を振るうということです。営業は週3日、ディナーのみということです。雨上がりの夜、初めて扉を押しました。いえ引きました。
カウンター席最奥の一番厨房に近いところに座られているのが、その振る舞いからご主人かと想像できました。まだ店内は先客1組でしたが、私の着席のあとはどんどん入店してきて、あっという間に満席なります。厨房は女将さんお一人。電話予約を入れた時から「料理はお待たせしてしまうかと…」とおっしゃていましたが、事情を知っていますので大丈夫ですよ、こちらは。むしろ女将さんの体力面こそ心配になります。
こちらのビールは、こだわりのハートランド。好物です。
「牛バラのシェリー煮込み」。これに「フランスパン」を合わせました。おお、美味。シェリー酒に浸けた牛、美味い。バラといっても全然脂っこくなく、スジのようです。これ、スジじゃないんですか? そして煮込みというよりシチュー。味のプロデュースは名シェフの仕業でしょう。焦がしたフランスパンがよく合います。ここが
板橋であることを忘れる料理です。
次に「スペイン風ミートボール アルボンディガス」。お、かなりスパイス感たっぷりです。クミンの仕業です。辛いわけではありません。ハーブ系もそれほどです。ソースはトマトベースなのですが、欧風というよりアジアンテイストです。これもいいですね。
ワインが欲しくなりました。白で。
パスタは「タラコ・アサリ・納豆」でお願いしました。やはりオーダーがいろいろ入っていて、しかも麺ものは茹で時間に細心の注意が必要なのでタイミングが難しく、時間がかかっている様子。ようやく出て来たそれは、ビストロでは珍しい庶民的なビジュアル。納豆がそう見せるのでしょう。
味は、あさりの塩っ気は抑えられ、たらこのしょっぱさも強くなく、味を支配しているのは納豆の甘さです。太めのパスタによく絡んできます。オリーブオイルで勝負、のパスタではありません。見た目も味も庶民的な、日本の食卓の見本となるような庶民的な料理です。意外にも、白
ワインがものすごく合いますよ。
それぞれ研究された美味しい料理でした。ご主人の厨房復活はまだ難しいのでしょうか。お店は大繁盛。女将さんがとにかく忙しそうで、お客さんも場合によっては厨房までお皿を下げに行っています。事情を知っているご近所の方がほとんどなので、オーダーや提供に時間がかかることを承知でいただいていますが、事情を飲んでいない方にとっては長く待たせる店と映るでしょう。お客さんの温かさで経営が成立しています。ご来店の際は、ぜひ温かな気持ちで、ゆっくりとおいしい料理を待ちましょう。初訪問で偉そうな物言いをしてごめんなさい。
ご主人のご快癒をお祈り申し上げます。本日はごちそうさまでした。

ハートランド スペイン風ミートボール アルボンディガス ¥800
パスタ タラコ・アサリ・納豆 ¥850

最寄駅 都営三田線「本蓮沼」(板橋区)
衛生感・落ち着き度 7
価格設定の適正度 8
料理の味・誠実度 8
好き度・リピート感 7
「
ビストロスイレン」ホームページ
CLIC → http://bistro-suiren.com/ビストロ スイレン (イタリアン / 本蓮沼駅、板橋本町駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.8