カツカレー¥830喜久美 きくみ西麻布 横尾忠則氏が愛する
Y字路(Y路地とも言う)。ここ
西麻布2丁目の
Y字路も都内では有名な部類に入るでしょう。平行な道に挟まれた不思議な土地です。不自然に平行する2本の道がある場合、かなりの確率でそこは暗渠。その2本の道の間に川が流れていたケースがよく見受けられます。確かにこの辺一体は大きな谷になってます。
根津美術館の庭園の池を水源とする「笄川(こうがいかわ)」支流が、平行道の東側の道にあたるようです。西側の道は元々道です。ですから先ほどのケースにはあてはまりません。この
Y字路に建っているのが「
喜久美」です。正確に言えばこの「
喜久美」は、青山霊園東の蛇ヶ池を水源とする「笄川」本流が東側から流れ込んでくる合流点にあります。奇跡の立地ですね。
ちなみに笄川はこのまま南下して天現寺橋のところで渋谷川に合流します。


GW真ん中の平日、営業していました。いや、支度中の札が出ていましたが、厨房でご主人が仕込んでいるのが見えたので、押し入るような形で入店しました。まだご飯が炊きあがっていないのであと20分くらいかかるけど、とのことでしたが、時間に余裕があったので店内で待たせていただきました。すると奥から女将さんも出てきて、厨房が忙しくなってきました。
窓から五月の爽やかな風が入ってきます。ああ、いい心持ち。このあとの仕事のことは忘れて、しばらくこの
Y字路の突端で風に吹かれましょう。
予想よりも早く、10分と待たずに配膳されました。オーダーしたのはもちろん「
カツカレー」。メニュー表でイチ推しなのが一目瞭然だからです。おお、豪快、豪傑。迫力まんてん
カツカレー。いただきます。
むっ。ホット。甘いカレーかと思いきや、見た目より辛いです。とはいえ、複雑に調合されたスパイスというより、チリペッパー少々とブラックペッパーの辛さでしょう。まろやなか辛さ。
カツは分厚く、良心的です。揚げたてなのでサクサク。肉は少し噛み切りづらい部分もあるので、フォークで食べた方がいいでしょう。うん、美味い。ありがたいのはポテトサラダの存在。舌と心を落ち着かせてくれます。
難しいのは、カツをどかすとライスにはカレーがまったくかかっていないので、カツの衣についたカレーをこそぎ落としてライスに戻しながら食べたほうがいいこと、です。そうしないとライスとカレーのバランスが崩れます。
続々と勇ましく労働者たちが入店してきます。作業着のグループ、サラリーマンのグループ。GW中も、おつかれさまです。ご近所のおじさまなど一人客もいて、あれよあれよと広くはない店内が埋まっていきます。近所の老舗行列店「三河屋」はGWは平日も休み。そんなこと知ってか知らずか、みなさんニコニコでカレーを食べています。
窓から見ていると、外国人たちはみなさん斜向いの豚料理店に入っていきます。何かで紹介されたのでしょうか。
大満足で食べ終わり、忙しそうな女将さんに勘定をお願いして、店を出ます。店の前には、大きなキダチチョウセンアサガオの黄色い花が、薫風の中で満開です。
人生初、2日続けてカツカレー
ランチでした。こりゃ太るな。さて、仕事仕事。




最寄駅 都営・メトロ「六本木」「乃木坂」(港区)
衛生感・落ち着き度 4
価格設定の適正度 8
料理の味・誠実度 8
好き度・リピート感 7
喜久美 (定食・食堂 / 乃木坂駅、六本木駅、広尾駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.8