グッカー + ナン¥2,340サプナ板橋
成増 日曜日。「スパイシーしようょ!」という階段を上がって店内に入ると、お客さんはゼロ。あれ? おかしいな。マスターとママがやさしくお出迎えしてくれました。オーダーは来る前から決めていた「
グッカー」です。ママ曰く、タンドリーチキンやハーブスープも美味しいのに皆さん
グッカーを食べて行かれるんです、と弱り顔。ここ2,3年、多くのメディアで紹介されるようになってから、全国からお客さんが詰めかけてくるようになり、目がまわるほど忙しいそうです。しかも多くのお客さんが
羊肉カレー=
グッカーを注文するそうです。しかし「
羊肉が苦手な方も、この
羊だけは美味しいといって下さる」と、満面の笑みで嬉しそうに話して下さいました。そう、いつもはにぎやかなお店なのです。
チキンにはししとうや苦瓜が合うので、そういう料理も考えているそうです。また、
羊ももつけ根(ラム)もいいんですよ、と。それでもやはりご自慢は
羊すね肉のようです。2日間かけて煮込むそうです。他店では小片のマトンやラムが多いですが、こちらのように骨付きブロックのまま提供するには、相当手間がかかっているようです。
ところで、私はパクチーが苦手なのですが、
グッカーに入っていますか? 今は時期的にいいパクチーが採れないので入れていません、とのこと。時期に感謝です。
およそ8分ほどで、配膳されました。うおう。すごい肉。といより、骨。ワイルドです。豪快です。骨にそってナイフを入れると肉はとろけるように剥がれますから、とのことです。ほんとだ。やわい。スープはハーブ系スパイス。そして辛い。3辛でこれか。しかし胃袋が浄化されて行くような神聖なスパイススープです。こりゃうんめえ。
羊肉は、ほんまかいなと思うくらいソフトな味と食感。ほろほろと崩れる柔らかさと、わずかに羊らしいワイルドな香りを残したやさしい肉です。他には目に見える具材はなく、この肉が美味しさの主犯格です。これは、美味い。遠方から食べにくるのが理解できます。
食べている間も、ママのお話はつきません。久住昌之氏や渡辺篤史氏が来店した時のエピソードも語って下さいました。
そして最後に、骨の髄が美味しいから、と厨房で骨を割って、随をお皿にのせて出してくれました。なんというサービス! 確かに、美味い! ほんのちょっぴりでしたが、強烈な印象です。苦みより甘さ。この随だけたくさん集めていただきたい、と申し出たら苦笑いされてしまいました。
ところで、ママから申しわけなさそうに1枚の紙を渡されました。「御案内」というタイトルの文章。今年12月31日をもって一旦閉店、と書いてあります。うおっ。なんという…。レビューの冒頭に書いた、客の入りが少ないこと、が理由ではありません。客は梅雨や雨が多い時期はもともと少ないんだそうです。そういうことではなく、建物の老朽化で立ち退くことに決まったそうです。新しい場所を探す気持ちはあるそうですが、現在は白紙だそうです。すでに閉店イベントをいくつか考えているそうです。…これは大変なことになったぞ。新店舗開店の為には、せっせと店に通って資金を落とすしかないですね。食べましょう、
サプナのカレーを。見せましょう、
インド料理の底力を。




最寄駅 東武東上線「
成増」(練馬区)
衛生感・落ち着き度 5
価格設定の適正度 7
料理の味・誠実度 9
好き度・リピート感 8
サプナ (インド料理 / 地下鉄成増駅、成増駅)
昼総合点★★★★☆ 4.5