水炊き¥13,000(税・サービス料込)鳥彌三 とりやさ京都市河原町
「京都の人は
川床はいきまへん。あれは観光客のもん」と同僚の京都人に聞かされてましたが、私はれっきとした観光客。堂々と訪れました
川床の料理屋。鴨川に浮かぶ1788(天明8)年創業の老舗「
鳥彌三(とりやさ)」です。天明って、あの天明の飢饉の…ですよね…。建築は、少し背が低い中央部分が、創業当時からのもので、登録有形文化財です。徐々に江戸末期、明治と増築してきたそうです。先斗町、河原町のすぐ南側、鴨川のほとりにあります。
坂本
龍馬は「高瀬」という部屋を使っていたそうです。私は観光客なのでそんな敷居が高い間ではなく、もちろん
川床です。鴨川から小さな支流を分けて、その真上に床が建っています。まだ18時、鴨川も空も明るいです。仲居さんに
水炊きを注文します。その後仲居さんからアラカルトの説明があります。いくつか口頭で紹介されます。当然価格を聞く野暮な雰囲気ではないので、とりあえず「皮焼」と「刺身盛り」を注文しました。暑かったので生ビールが染み渡ります。






前菜は、生湯葉、はも寿司、はも南蛮漬け、黒豆、まるじゅう、こけももです。まるじゅうとは、薩摩の紋にちなんだサツマイモの別称です。先付は、鳥肝煮と汲み上げ豆腐です。さすが鶏料理の老舗、肝が美味しいです。徐々にあたりが闇に包まれ始めると、傍らに水炊きの具材が置かれ、鍋に火が入りました。水炊きスタートです。
煮える間、刺身や皮焼をいただきます。皮焼は、鶏皮を伸したものを揚げています。始めは一味で、次にレモンで、最後に塩でいただきます。うん、大人のスナックですね。刺身盛りには、はもの
があります。久しぶりにいただきました。さていよいよ鶏さん達の登場です。
まず先鋒は、むね。いや、その前に儀式があります。水炊きスープにうずら卵を溶かして塩を振ったスープをいただきます。こりゃいい。美味い。八重洲「伊勢廣本店」の鶏スープは絶品ですが、このスープもいいですねえ。で、胸肉をいただきます。ああ。柔らかな胸。理性が…。これが200年以上愛される味か。ちなみに鶏以外の具材は、白菜、しいたけ、春菊、豆腐、湯葉などです。鶏と鶏の間に、気持ちを鎮めてくれる役者たちです。








次に、ささみです。たんぱくな部位のはずなのに、シャクシャクした歯応え。豆腐と合うんですね。次に、もも。うう。いい。肉も皮もとろけます。ちょいと一味をふりかけて、2度美味しい。湯葉が合いますね。
続いて、もも間接か。骨系です。むしゃぶりつきます。中居さん、日本酒下さい。
ここで珍しい「八分付き」のお餅です。なるほど、粒が残っていい食感。鶏出汁スープに合いますねえ。
中居さんがどんどん鶏肉を持って来ては鍋に放ってくれます。そして合間合間に例のうずらスープを作ってくれます。次の鶏は、おそらく胸です。食べてるくせにようわからんのです…。ただ美味いことには違いなのです。これで、鶏肉は最後でしょう。
最後は〆の雑炊。すでにお腹は一杯なのですが、意外とサラリと食べられます。鶏出汁がしっかり出たスープに炊きたてご飯を卵でとじて、日本酒をお供にいただくのです。そして夜の川辺の涼しい風。京都ですねえ。
雰囲気抜群、古建築の
川床。気になるのは中居さんがどんどん給仕してどんどん片付けていく
落ち着かないサービスだけです。また料理だけで値踏みすると会計がちょっと高いかなあ。口頭での案内なので不明瞭なお会計ですが、前菜・先付が推定2,000円、お刺身盛りが推定2,000円、これでだいたい計算が合います。サービス料20%。そういうことを考える愚民にはむいていないかもしれません。でも、せっかくの観光ですから。煩悩は鴨川に流しましょう。素敵なお店でした。ごちそうさまでした。いいアミューズメントでした。





最寄駅 阪急河原町線「河原町」京阪「祇園四条」(京都市下京区)
衛生感・落ち着き度 8
価格設定の適正度 5
料理の味・誠実度 8
好き度・リピート感 5
「鳥彌三」ぐるなび
CLIC → http://r.gnavi.co.jp/kakg600/menu1/鳥彌三 (鳥料理 / 祇園四条駅、河原町駅、清水五条駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0