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僕らは岩波で大人になった。読書子に寄す「神保町ブックセンター」 勝負ランチ

僕らは岩波で大人になった。読書子に寄す「神保町ブックセンター」

     
神保町ブックセンター_イカスミカレー_カフェ_岩波022イカスミカレー
¥1,000

神保町ブックセンター カフェ
神保町

僕らは岩波で大人になった。読書子に寄す「神保町ブックセンター」。
 大学を卒業する頃、急に知識欲が出てきて「岩波文庫」や「岩波新書」を読み漁り出した。マイブームは4、5年で終わったがその間の文学的教養はその後の生活に確実に活きている。森鴎外を「鷗外先生」と敬称し始めたのもその頃、トルストイ「ドン・ジュアン」などを読んで理解できない世界があることを理解したのもその頃、天皇制について考える基となったのも、すべて岩波だった。ちなみに岩波ではないがカフカ「城」はどうオチるのか我慢して最後まで読んだらガックリきたのもこの頃。
 神保町付近に仕事場が決まって、よく岩波書店アネックスビルの「岩波ブックセンター」には来ていた。いつのまにか書泉グランデや三省堂に行く機会が増え、しばらく岩波から遠のいてしまった。そして2016年、運営に不幸があって岩波ブックセンターは歴史の幕を閉じた。巻末の岩波茂雄氏の「読書子に寄す」を読み返し、言葉こそ永遠だと思った。

 その跡地に、昨年春「神保町ブックセンター」がオープンした。岩波書店の文庫、学術書、児童書などを読みながら時間を過ごすカフェとなっている。
カフェ店内は、岩波書店発行の書籍に囲まれた空間設計で、ライティングは食事のためではなく読書をするための明るさ、角度、距離となっている。

 しかしそんな中、私は昼メシを食べに来た。それを目的として来た。そのあたりの雰囲気は入店と同時に店員に読まれていて、コンセプト違いの客だと思われたことと思う。膝に猫でも乗せていれば
雰囲気でも出たろうか。
 客はほとんどが独り。半分は本を読み、半分はスマホをたたいている。時代は文庫からインターフェースにシフトを始めた、その縮図が見えた。

神保町ブックセンター_イカスミカレー_カフェ_岩波03

イカスミカレー」¥1,000

神保町ブックセンター_イカスミカレー_カフェ_岩波01

 突然イカスミカレーが食べたくなった。チキンカレーやサンドイッチでも良かったが、ほの明るい空間にはイカスミが似合うと思った。
 サラダとスープをフムフムと唸りながら食べていると、黒いカレーが運ばれてきた。すぐにイカの薫りがした。よく見ればイカそのものも幾ピースか入っている。トッピングはフライドオニオン。もちろん福神漬けなどない。ハードボイルドではないからだ。
 カレーは、色彩こそイカスミに支配されているものの、苦味は少なくマイルドな仕上げだ。女性客を意識して、コアなカレーファンは置き去りだ。いや、これで結構コクがあって深みもある。欧風カレーは神保町のランドコンテンツと言えるが、このカレーもネイバーフッドといえる。じっくりコトコト。じっくりコトコト。読書に似合うオノマトペ。じっくりコトコト。イカスミスープがフツフツと小さな泡を立てて煮込まれているのが想像できる。

神保町ブックセンター_イカスミカレー_カフェ_岩波02

 フムフム言っているうちに、いつのまにか最後の一口。鬼のように皿からカレーを刮いで、口に放り込む。壁に積まれた岩波文庫の青ラベルを見ながら飲み込む。一つの時代が終わり、新しい時代が始まるその時に、神保町の岩波書店で、私はイカスミカレーを下品に食べきった。

 レジに小説でも一冊持ってカレーの会計と共に購入でもすればハードボイルドなのだが、私は次回はチキンカレーだな、とか思いながら財布の紐を解いた。じっくりコトコト。私が熟するのは一体いつなんだ。じっくりコトコト。
 今年で人生の3分の2が終わる。早くチキンカレーを食べなければ。

神保町ブックセンター_イカスミカレー_カフェ_岩波04

最寄駅 都営・メトロ「神保町」(千代田区)
衛生感・落ち着き度 8
価格設定の適正度  6
料理の味・誠実度  7
好き度・リピート感 7

神保町ブックセンター」HP CLIC → https://www.jimbocho-book.jp/

神保町ブックセンターカフェ・喫茶(その他) / 神保町駅九段下駅竹橋駅

昼総合点★★★☆☆ 3.6



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真冬でもキンキンに冷えたビール。

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悶絶メニュー。何度でも食べたい逸品。
グルメ度数 10点満点
●衛生感・落ち着き度 → 居心地や対応の良さの度合い
●価格設定の適正度 → 素材や調理法と価格の釣り合い
●料理の味・誠実度 → 美味しさと作り手の誠実さ
●好き度・リピート感 → その土地に再訪する時の高揚感
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