チャーハン¥540まつや食堂浮間舟渡 浮間舟渡の「
まつや食堂」に来ました。近づくと、食堂ファンならずとも垂涎の佇まいです。のれんが鮮やかに風に揺れています。
ここ「
まつや食堂」は、イートインできる飲食店としては「
板橋区最北端」の食堂ということになります。区民として愛すべき食堂ですね。
店内は大箱で、昭和の高度経済成長を支えてきた空気をたたえてます。地元の作業員や会社員が悠然と食事をし、ご年配の方が瓶ビールを傾けています。
壁を見ればこれまた垂涎の献立が一面に表示されています。もう、またかー。いったいどうしたらいいんでしょう。今の私は何腹なのか冷静に考えます。…。…。そうか、年が明けてまだチャーハンを食べていなかったなあ。では。


「お水で大丈夫ですか?」とフロアの若きミス。ということは、昼から飲む方が多いお店なんでしょうね。私の顔は、その類いだったのでしょう。み、ミス…水で…。今は休肝日ならぬ休肝時間なんです。水はホッピーグラスなので、この錯覚感だけで充分です。
ちなみにカレーチャーハンや茄子の辛味噌炒めやかつ丼や唐揚げなど、日本が生んだ素晴らしい食事の数々が、このお店には準備されています。
「チャーハン」¥540

540円! 平成が終わるというのにこの価格。愛しき食堂です。チャーハンの傍らには鮮やかな紅生姜。

しかしこのチャーハンの形は…初めて見ました。普通は中華鍋を返しながらおたまにのせて丸い形を作るか、そのまま皿に流して形を成さないかです。…花形。ライス型を調べてみると、この形に近いのは「梅」「菊」「富士」がありますが、山の数を数えると「梅」は八角、「菊」は十角、「富士」は十四から十六角なので、このチャーハンは「菊」型ですね。風流なチャーハンです。
具材は、チャーシュー、ネギ、卵、そしてナルト。ご飯はしっとり。ご飯の水分も油の量も良い加減で、食べ始めるとパラパラと味が散りばめられていきます。味は薄めで、醤油や塩こしょうのしょっぱさや辛さもほんのりと溶けあう、穏やかな味です。菊を少しづつ崩しながら食べ進める、雅で粋なチャーハン。今年1年の、私の輝かしいチャーハン生活を導いてくれるようです。周りが見えなくなってきました。私とチャーハンの2人きりの世界。レリゴー、レリゴー。ヒアアイアム。蝶のように舞う、アリのままに。

気がつけば最後の一口。気がつけば皿を持ち上げて口に直接かき込んでいました。恍惚の接吻。クララが立った。感動のフィナーレ。ああ、美味い!
我にかえって厨房をのぞけば、若き大将が鍋を振り上げています。決して寂れた食堂ではなく、これからの新しい時代にも普遍的な食事を作り出していくことでしょう。危ぶむなかれ。ここは、大丈夫だ。問題は、俺なのだ。
なんだかチャーハンとシンクロしてしまい暴走してしまいました。「まつや食堂」、尊ぶべき聖域です。また参詣させていただきます。礼拝か。とにかく、ごちそうさまでした。わけもなく転がるように店を後にしました。

最寄駅 JR埼京線「浮間舟渡」(
板橋区)
衛生感・落ち着き度 5
価格設定の適正度 8
料理の味・誠実度 8
好き度・リピート感 9
まつや食堂 (定食・食堂 / 浮間舟渡駅)
昼総合点★★★★☆ 4.0