★殿堂メニューちょうちん焼¥?鳥長六本木 六本木ミッドタウンの交差点、近代的なビルの地下に「鳥」の字を発見して飛び込みで訪問しました。屋号は「
鳥長」。後で調べてみると、1964(昭和39)年創業、つまり前東京五輪の開幕2週間前に創業の老舗でした。時代の波の中で常にフローしていく
六本木で 年間屋号を守って来られたのは何か理由があるはずです。
階段を下って障子風の扉を開くと、変形コの字、圧巻の白木一枚板カウンターが広がっていました。現在17:00、ほぼ開店と同時に入店したのでまだお客さんはいません。こんな時間は
六本木にとってはティータイム。しかしこちらのお店は準備万端、早々の客にも慌てず騒がず。刀の刃を常に研ぎすまし、いつでも勝負できる状態にしておく職人、いやサムライのようです。
こここそ、真の「
隠れ家」といえます。

「おまかせ」でお願いしました。カウンター内では大将と焼き台の方が手ぐすねを引いて待っていました。うん、こういうお店はおまかせがいいんです。 おろし卵が出るのはちゃんとした鶏料理屋の証しです。期待大です。
今夜の「おまかせ」(14本)
・つくね
・正肉
・ちぎも
・ししとう
・ささみ わさ
・うずら
・ぎんなん
・厚揚げ
・手羽先
・しいたけ
・ぼんちり
・アスパラ
・なんこつ
・ねぎ
鶏スープ
いくつかレビューします。すべてに通じますが、塩加減が絶妙なんです。
「つくね」

まずは静かなスタート、つくねです。が、かなりの確率で「つくね」はお店の実力を知る大切な一品です。寿司屋の卵と同じです。
おうっふ。肉、塩、焼き加減…パーフェクト。何という前戯。顔がニヤけます。
「正肉」

スタートダッシュに成功した流れは、この串に引き継がれました。焦らすような一品が、番手できましたよ。今度は胃袋がニヤけています。はあ…美味し。
「ちぎも」

いわゆるレバです。食べた瞬間はハツかな?と思いました。しかしよく味わえば…これがレバーか!何と上品な。30個は食べられますよこれなら。アイヤー。
私も特におしゃべりではないので、お店の方もそれを察して黙々と焼いています。緊張感漂う静寂の時。焼き台の炭の音と、焦げた団扇の音だけが空間を支配します。まさかこんな軽い文体の客だとは思っていないでしょうねえ。
「ししとう」

「ささみ わさ」

思わず「これホントにササミですか?」と聞き返してしまいました。なんて柔らかな! しかもほぼレアでこの食感。すごいササミです。そんなにささみって好物ではないのですが、これなら10本はいけます。
「うずら、ぎんなん」

「厚揚げ」

はやる気持ちを抑えるのに一役買いました。いい厚揚げを使用していますよこれは。私はいい揚げって「栃尾」しか知らないのですが。あぶらげ。
「手羽先」

素敵な皮ですねえ。この脂のノリ! 大将、2ピースじゃ足りませんて! 美味い。
「しいたけ」

まるで出汁を固めたかのような深みのある味。塩と七味がよく合いました。
「ぼんちり」

「アスパラ」

北海道でしょうかねえ。時期的には最盛期は過ぎたかもしれませんが、新鮮で柔らかくて美味しいですね。これはバター焼きなんですね。
「すなぎも」

「ねぎ」

最後は、ねぎ。シブイ。ねぎまだと、肉とねぎの焼き時間が違うのでねぎの端っこがこげてしまうこともありますが、これなら問題無し。甘い!
…「おまかせ」は終了しました。しかし、壁の札に「ちょうちん」を発見していたので、最期に追加で焼いていただきました。
「ちょうちん焼」!!!

あらららら、あらあ! 何この「プッチン」と弾ける食感! ホントに、口の中で弾け飛びましたよ。思わずニヤリ。これは絶品、頼んで大正解です。絶対に、これを食べずに店を後にしないで下さい。

〆は鶏スープ。うーん、身も心もあったまる。美味しいです。お茶も出されましたが、すみません、要りません。この鶏スープの残り香を口に含んだまま帰りたいので。
結局退店するまで他に客は来ず、独り占めの店内となりました。贅沢な時間でした。新宿「鳥茂」も最高のおまかせでしたが、あのお店には静寂がないんです。純粋に「食」に集中できる、六本木の真の
隠れ家。ごちそうさまでした。
ちなみに、森下「鳥長」もいい
酒場ですが、こちらとは関係がなさそうです。
最寄駅 都営・メトロ「六本木」(港区)
衛生感・落ち着き度 9
価格設定の適正度 9
料理の味・誠実度 9
好き度・リピート感 8
鳥長 (焼き鳥 / 六本木駅、乃木坂駅、六本木一丁目駅)
夜総合点★★★★☆ 4.3